3年半ぶりに日本に行ってオーストリアに戻った。人間も動物も種も土も水も移動しているが、火山とかその近くで起こっている循環をまるごとよその場所に移すことは出来ないわけで。緑の色が濃い、葉っぱが分厚い、紫芋に牛乳を混ぜてつくった色みたいなとても珍しい感じの木の実が道の脇に人知れず生えていてびっくりした。硬水は飲むと骨が硬くなる感覚があるけど、軟水は口に入れると簡単に体の一部になっていった。育った文化圏を離れて暮らす画家はよく風景画を描いている。その人達の気持ちがとても良く分かる気がする。大抵の窓やキャンバスが四角形なのも納得だ。持ち運びたいけど、持ち運べないものがあるから、切り取って保管するしかない。そのジレンマを人間は手放すことができない。