『英語がペラペラ』になりたい、という文句がある。ペラペラと聞くと、口はうまいが中身がない人、まるで公園でお弁当を食べていると風が吹いたら一番にさらわれる紙ナプキンみたいな脳みその人、を思い浮かべるし、こんなペラペラの紙切れ一枚で、など否定的な意味でこのオノマトペは使われることが多い。『英語ベラベラ』という言葉も耳にしたことがあるが、艶のあるピンク色に塗られた唇とくちびるの狭い隙間から見える、訓練された細い舌が口内のあちこちをちろちろと動き回っている様がうかんで、どぎまぎしてしまう。『ネイティブ並み』という表現を使う人もいるが、ネイティブに近づくことがよしとされるような言語を測るものさし、に、すこしでも有機的な形を与えるため、母語の外に出て、第二、三言語と共に生きている人がこの世界には実はたくさんいるのだから、『ネイティブに近づきたい』、などのフレーズはとっととまとめて燃やしてしまおう。

 

8/11/2023